理学療法士、作業療法士の違いは?年収の違いや将来性をまとめました。

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2025年問題に直面している今日。3人に1人が高齢者となる少子高齢化社会で現役世代への負担は増えてきています。

医療の発展や健康意識の芽生えが年々強くなってきている今だからこそ注目されている職種、それがリハビリ業界の中心である「理学療法士」「作業療法士」です。

資格を取るには国家試験を受ける必要があり、そのために大学や養成校に3〜4年通う必要があります。世間に幅広く認知されている職業ではないため、理学療法士(PT)と作業療法士(OT)の違いは!?どちらを選べばいいの?と悩んでいる学生は多いと思います。私も当時は物凄く悩みました。

そこで今回は、現役OTの目線から

・理学療法士と作業療法士の違いについて

・年収に差は出るのか?

・将来的に活躍の場が広がるのはどちらか?

この3点に絞ってまとめましたので、悩んでいる学生には職種選びの参考になったら嬉しいです。

①理学療法士と作業療法士の違いについて

結論「大して変わりない」です。

世間的には理学療法士は「起きる、立つ、歩く」などの基本的動作に対してリハビリする人。作業療法士はトイレや入浴、料理などの生活に直面する応用動作に対してリハビリする人。と認識されています。もちろん間違いでは無いですし、患者さんに聞かれた場合は私も同様のことをお伝えします。

昔はPT/OTとしっかり区別されており、それぞれの部屋もありました。しかし最近ではチーム医療をテーマに取り組んでいる病院が多く、PT/OT室は無くなり、他職種を合わせたスタッフステーション制を取っている病院が増えてきています。それに合わせて現場では「生活を見れる理学療法士」「歩きが得意な作業療法士」の需要が高まっています。

伝えたいことは、私たちセラピストは「理学療法、作業療法どちらも出来なければいけない」と認識しておくことです。

もし、今の段階で明確にやりたいことがある場合は上記に当てはまらない事例もあります。例えば、「スポーツ分野で活躍したい」のであれば理学療法士。「精神分野に興味がある」や「小児を見てみたい」のであれば作業療法士が望ましいです。なぜならそれぞれの専門性を存分に発揮できる場所だからです。

多くの新入社員はリハビリの花形「回復期」がある病院を最初の職場として選択することが多いです。最初のうちは理学療法であれば「基本動作訓練」「歩行訓練」「下肢機能訓練」作業療法であれば「生活動作訓練」「上肢機能訓練」「就労支援」の実施機会が多いです。それぞれ基礎となる部分であり、強みとも言えます。しかしこれらが全てではなく、どちらも出来るセラピストが求められる時代であるため、PT/OTどちらを選ぼうが最終的にはあまり変わりはありません。回復期の経験を得て生活期(訪問や通所)リハビリに行く方も多いですが、生活期こそPT/OTほぼ一緒みたいなものです。

ではどう選べばいいのか?

それは「少しでも気になる方」で良いです。

「小さいころにPTさんにお世話になったからPTにする!」「手芸が好きだからOTにする!」

上記2つはかなり多い理由付けです。あまり深く考えずに最終的には「どちらもできるセラピストを目指す」これを忘れずにいて欲しいです。

②年収に差は出るのか?

結論、理学療法士と作業療法士の間で差はないが、個人では差が出る。

PT/OTは先ほども述べたように「ほとんど変わらない職種」になるため年収も変わりないです。平均年収は約450万程度。一般サラリーマンよりは低い水準に当たります。初任給は手取りで約21~23万円です。

リハビリ業界で年収を高くしていくためには個人で努力していくしかありません。具体的に言えば「役職につく」「働く場所を変える」「教授,教師になる」があげられます。

②ー1 役職につくためには

リハビリ業界は自己研鑽の世界。院内・院外研修会や多職種交流会、最近ではオンライン勉強会など探せばいくつもあります。時間もお金もかかりますが、スキルアップや業界の中で顔が知れる存在になるためには参加することが大事です。勉強会で得た知識がリハビリに活かせてくると上司からの評価も上がります。医療業界はほとんどが年功序列制度であるため、役職を持てるのは早くて30代以降です。その時に役職候補として名が上がるように自己研鑽に努めましょう。

リハビリ職の役職では主に「プリセプター」「サブマネージャー」「マネージャー」制度がとられており、病院によってその数は様々です。

・プリセプター:新入社員に対して業務を教え、仕事をサポートする役割。主に2~3年目のスタッフが多い。役職手当なしがほとんど。

・サブマネージャー:小集団のリーダー。PT/OTグループに各一人ずついます。グループ内全体の業務を把握し、スケジュールの調整や後輩指導、相談に努めます。約10年以上経験したスタッフが主に担当し、役職手当は5,000~10,000円です。

・マネージャー:病院全体を管理しているリーダーです。大きな病院では各階にマネージャーが配属されています。患者さんや家族への対応、人事業務やスタッフ全体の業務管理など多忙な存在です。20年以上経験があるスタッフが担うことが多いですが、責任重大な存在であり誰しもが経験を積めばなれる役職ではありません。

②ー2 働く場所を変える

リハビリには大きく「医療保険」と「介護保険」があります。医療保険のリハビリは主に入院している患者さんや外来患者さん対して行うものを指します。介護保険のリハビリは訪問やデイサービスなどの通所に来ている利用者さんに対して行うものを指します。結論、稼げるのは「介護保険」のリハビリです。稼ぎたいセラピストは何年か病棟で経験を積んでから、生活期へ転職して年収をあげる方法をとっています。病棟では多職種との交流が盛んであり、先輩上司からも直接教えてもらいやすい場所ですが、生活期では一人である程度できなければいけません。人手不足の今日、新卒からでも生活期の求人をかけている所がありますが、市場需要としては3年以上の病棟経験を積んだスタッフが求められます。そのため私的には新卒で病棟経験を積み、ある程度PT/OTの知識を身に着けて「生活期リハ」の分野へ転職するのをおすすめします。

②ー3 教授,教師になる

リハビリ職には病院や施設のほかにも「教授,教師,講師」としての働き方があります。日々の業務と並行して研究発表に精を出し、最終的には大学教授としての道を進む方もいます。養成学校卒(専門学校)の方でも「教師」になることは可能です。今日では求人も多く出ています。(臨床経験5年必要)どちらも病院勤務より平均的に年収は高い傾向となりますが、狭き門ではあります。採用されるためには、研究への取り組みや学会発表など「自己研鑽」となる部分を新卒からコツコツと積み上げていく必要があります。

③将来的に活躍の場が広がるのは?

結論、どちらかといえばOTの方が優位。

実際に働いてみると気づきます。「OTって少なくない?」と。まさにその通りで世間的にも名が知れているのは「理学療法士」です。そのイメージもあって理学療法士を選択する学生は多く、仕事内容は大きく変わらないものの作業療法士がどんどん貴重な存在になっています。また作業療法士は身体機能へのリハビリに加えて「精神的分野」「高次脳機能分野」「小児科分野」などPTと比べて幅広い専門性があり、それらに応じて働き方も選べます。将来的にはPT/OTどちらもできるセラピストが市場のニーズになり、それらに適応しやすいのはどちらかといえば作業療法士であると私は考えます。

④まとめ

今回の記事で私が伝えたいことはこの1点

・将来的にはどちらもできるセラピストになりなさい。

これだけです。そのための導入として理学療法士、作業療法士どちらが良いか悩むかもしれませんが、大して変わりありません。「少しでも気になる方」「友達がいる方」「親に言われたから」いろいろありますがなんとなくの理由で決めて大丈夫です。すべては働き始めてからの自分の「努力次第」ですから。まずはそのためにもしっかり勉学して国家試験合格に向けて頑張ってください!落ちてしまえば「ただの人」ですからね。一緒に働けることを楽しみにしています。

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